【おすすめラノベ】「俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた」レビュー
俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた
書籍情報
書籍名 | 俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた |
著者名 | わるいおとこ |
レーベル | ファミ通文庫 |
出版年 | 2020年 |
ストーリー紹介
異世界の戦国時代を舞台に、田舎町の主人公が王になり、天下統一を成し遂げる。そんな王道ストーリーのゲームが、戦争でプレイヤー独自の戦略を試せると人気を博していた。そして、全世界のプレイヤーを戦争で得たスコアを基準にランキングし、公開していた。
今、ランキング1位で天下統一に成功した長谷川龍一(はせがわ りゅういち)(25)は、ゲームの運営からメッセージを受け取る。
[ゲームの運営は、あなたの戦略を高く評価します]
俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた | わるいおとこ
[栄光に挑戦しましょう。これは、ランキング1位のあなただけに与えられる特典です]
気が付けばゲームと同じ世界に転移した長谷川龍一は、自分がルナン王国エイントリアン領の悪徳領主エルヒン・エイントリアンとなっていることに驚く。
ゲームシステムとランキング1位の戦略を駆使し、この世界を生き残り『栄光』を享受する。エルヒン・エイントリアンの戦いの幕が切って落とされた。
こんな人におすすめ
戦国時代の人物に自分を重ねて歴史のifを考えるのが好きな人におすすめ
私のお気に入りポイント3選
読んだタイミングや環境によって思うことは人それぞれ、あくまで個人的な見解として、私が好きな人物や場面などをご案内します。
お気に入りポイント①
お気に入りポイントひとつ目は、[情報確認]です。戦略ゲームにおいて重要なポイントのひとつである、人材の運用管理の助けとなるエルヒンの初期スキルです。人物のステータスである武力、知力、指揮などを数値で確認することができます。また、戦闘では兵力(兵士数)、士気も数値で確認することができます。新たに登場した人物を[情報確認]し、よい人材を見つけたときは、エルヒンと同じく自分もワクワクしてしまいます。もちろん逆なこともありますが。
[パーク・ゴードン][爵位:男爵][年齢:38歳][武力:33][知力:23][指揮:20]
俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた | わるいおとこ
[所属:エイントリアン領地軍の指揮官][所属内の民心:10]
情報を確かめた。やはり思った通りだ。まさに無能そのもの。
もし、会社でそんな人が現れて、私も[情報確認]されていたら嫌ですね。どんな目で見られるんでしょうか?どんな能力値でも切り捨てるのだけはやめて欲しいです。でも、会社の評価制度によって数値化され評価されるので、結局[情報確認]されているのと同じですね。
お気に入りポイント②
お気に入りポイントふたつ目は、ユラシア・ロゼルンです。酒と女に溺れ領民に重い税を課し搾取する悪徳領主の噂を耳にしエルヒンの前に現れたユラシア・ロゼルン。
『あなたがエルヒン・エイトリアン?』(中略)
俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた | わるいおとこ
『だとしたら……?』
『それなら、死んでいただきます』
高貴さが漂う金髪ロングの美女のステータスは、武力87、知力57、指揮95と高いですが、ほかの数値に比べれて知力が少し劣ります。それが影響しているのか、悪徳領主の風聞だけで判断するのではなく、自分の目で見て判断するため状況を見守ることになったユラシア。そんな状況で、少し天然な言動をするユラシアは可愛くて面白いです。なぜそうなる?
『腹が立ったので乱入しようとしましたが、あまりの怒りに剣を落としてしまったんです。(後略)』
俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた | わるいおとこ
それにしても、自分の耳に入ってきたあまり良くない評判と、自分が直接見て感じた評価が、違うことはありませんか?たまに会社なんかでそんな人物に出会います。やはり自分で直接見て判断するのは大事だと思いますね。ただ、だいたいが評判どおりでしたが。
お気に入りポイント③
お気に入りポイントみっつ目は、エルヒート・デマシンです。年齢42、武力96、知力70、指揮92。鬼槍のエルヒートの二つ名をもつルナン王国第一武将。その規格外のマナスキルには驚愕します。
まるで死神の鎌でも薙ぎ払われたかのように、数百人の首が光と共に空に跳ね上がる。その瞬間、空には数百人の首から吹き出る血で噴水ができあがった。
俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた | わるいおとこ
まさにスプラッターホラー映画のような光景が広がります。その場にいたら戦意を喪失して逃げ出したくなるレベルです。
ただし、味方であればこれほど心強い人間はいません。能力値による自信と年齢からくる余裕を合わせ持つ、大人の魅力を感じます。そして、清々しい物言いがカッコイイです。
『敵軍を全滅させたら、彼と一緒に酒を飲む。それも、一晩中だ!』
俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた | わるいおとこ
私が働きだした頃と違い、今では職場で飲みに行くこともなくなり、誘われても断ることが多くなりましたが。エルヒートのような人物に誘われたら飲みにいきたいですね。
さいごに
いかがでしょうか、「自分だけがレベルが上がる世界」というテーマに惹かれて手にした本です。最初は単純に敵を倒してレベルアップして強くなるのかな?と思ったのですが、実際は違いました。
この世界でのレベルアップには集団戦闘が大きなカギを握ります。経験値を多く得るためには、効率的な戦略を実行することや、自分より強い相手に勝つことが求められます。ゲームとは異なり、戦略の失敗が致命的な状況(死)につながるため、主人公がどのような戦略を実行するか楽しみながら読んでいました。戦略ゲーム好きの方は、自分だったらこんな戦略を実行するとかを考えながら読むと楽しいかもしれませんね。
ちなみに子供の時にすこし遊んだくらいですが、私は戦略ゲームは苦手です。日本の戦国時代に天下統一を目指すゲームでしたが、自国がいろいろと準備しているのを他国は待ってくれないところが苦手だった気がします。当然ですよね。でも、今遊んでみたら意外と面白いと思うかもしれないですね。
以上です。では、ありがとうございました。